悶絶級のライヴ、その一言に尽きる。
6月26日にファースト・アルバムを発表したばかりの内田勘太郎(ギター/ヴォーカル)と甲本ヒロト(ヴォーカル/ハーモニカ)のユニット、ブギ連の初ライヴとなった、7月4日(木)渋谷クラブクアトロでの「ブギる心」は、二人が思う存分、ブルース&ブギを自由に楽しみ、観客も一緒になってスリルを味わった最高のライヴだった。
「ドキドキする」と甲本ヒロトはステージの上で言った。
アルバムで録音した通り演奏するのではない、その場でその瞬間で出す音が決まるステージでのセッション。
相手が何をやってくるか、自分が何をやるか。ハーモニカをくわえながら内田を見る姿に、一瞬の判断で音を選ぶ緊張感が漂うが、「このあとどうなることやら」と言いながらも、それが楽しくて仕方がない様子を隠さない。
内田がギター・ソロをとれば、その横で「うわー、すげー!」と聞こえそうな驚きの顔をみせ、観客に向けて「すごいよなあ」と言わんばかりに満面の笑みをみせる。そしてひとたび歌えば、まっすぐ飛んでくる声で聴く者の心を串刺しにする。
一方の内田も甲本との共演に他ならぬ喜びを感じていたに違いない。
ステージ一曲目、アルバムの冒頭を飾った「あさってベイビイ」では、ハーモニカ・ソロを2コーラスやるよう促し、それに応える甲本を見守る。
そして自身の縦横無尽なギターは、暴力的なまでに荒々しく響いたかと思えば、やさしく支えるように静かに鳴り、そのダイナミズムが二人という最小ユニットでありながら、まったく不足を思わせない音世界を作り出していた。
ブルースは定型があり、そこにいかに演者が色を付けるかを楽しむ音楽でもある。
この晩の二人の演奏は、その定型を壊さずに、その中でどれだけ自由に遊べるかを見せつけるかのようだった。
かといって二人だけの世界に没頭せず、無邪気といえるほどステージの上で楽しみながら、観客の心をブギらせ、ブルースで悶絶させる。
二人の共通言語であるブルース&ブギが満員の会場を完全に興奮と感嘆へと導いていた。
アンコールを含めたおよそ90分ほどのステージでは、アルバムに収録されていない曲も披露され、ブギ連の無限の可能性を感じさせるとともに、ブルース&ブギの底知れぬ魅力を、どうだ!とばかりに見せてくれた。
9月には愛知、大阪、東京で計4回、ブギ連LIVE「ブギる心」の開催が決まっている。
そこではまた違った演奏が繰り広げられるだろう。
ブギ連ライヴ「ブギる心」
9月24日(火)愛知県 名古屋クラブクアトロ
9月25日(水)大阪府 梅田クラブクアトロ
9月27日(金)東京都 東京キネマ倶楽部
9月28日(土)東京都 東京キネマ倶楽部
ブギ連/公式サイト
www.sonymusic.co.jp/artist/boogie-ren/
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ブルース&ソウル・レコーズ No.148
bsrmag.com/magazine/bsr148/