アフリカ系アメリカ人の日常と人間性をスクリーンに映し出し、アメリカ映画に静かな革命をもたらした伝説の映画作家 チャールズ・バーネットの初期代表作『キラー・オブ・シープ』『マイ・ブラザーズ・ウェディング』を「チャールズ・バーネット・エブリデイ・ブルース」という特集タイトルで 2026 年 2 月 7 日(土)からシアター・イメージフォーラムにて4K レストア版で日本劇場初公開されることが決定。
本特集では、南ロサンゼルスを舞台にした初期二作――伝説的傑作『キラー・オブ・シープ』と、再編集を経て甦った『マイ・ブラザーズ・ウェディング』――を、ともに最新の 4K レストア版で日本劇場初公開致します。この度、解禁されるポスタービジュアルでは初⻑編『キラー・オブ・シープ』から黑人コミュニティで暮らす少年たちが塀の上に座って石を投げる、生き生きとした印象的なカットをピックアップ。今なお鮮烈に輝くチャールズ・バーネット作品を象徴するビジュアルとなっている。
チャールズ・バーネットについて
1944 年 4 月 13 日、ミシシッピ州ヴィックスバーグ生まれ。幼少期に家族とともにロサンゼルスへ移り、サウス・セントラル地区のワッツで育つ。電気技師を目指してロサンゼルス・シティ・カレッジで学んだのち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に編入。創作ライティングの授業をきっかけに映画制作を志す。大学院では映画制作(MFA)を専攻し、この時期にジュリー・ダッシュ、ハイレ・ゲリマらと協働。のちに批評家クライド・テイラーによって「L.A.リベリオン」と呼ばれるようになる、アフリカ系アメリカ人を中心とした映画監督グループの一員として活動した。
初長編作『キラー・オブ・シープ』(1977)は学生映画ながらベルリン国際映画祭フォーラム部門で国際批評家連盟賞を受賞。その後も『マイ・ブラザーズ・ウェディング』(1983)、『トゥ・スリープ・ウィズ・アンガー』(1990)、『The Glass Shield』(1994)などの長編を発表。短編やドキュメンタリー、テレビ映画も手がけながら、アフリカ系アメリカ人の生活と歴史を一貫して描き続けている。2017 年には、長年の功績に対してアカデミー名誉賞を授与された。
近年はドキュメンタリー『After the LockDown: Black in LA』(2021)を共同監督したほか、Amazon スタジオによる歴史映画『Steal Away』も開発中。『キラー・オブ・シープ』『マイ・ブラザーズ・ウェディング』をはじめ、後期作『The Annihilation of Fish』の 4K レストアも完了しており、アメリカ映画史における重要作家の一人として、いまも国際的な注目を集めている。
キラー・オブ・シープ
メランコリーとユーモア、絶望と希望——
LA の片隅で暮らすアフリカ系アメリカ人労働者の日常を詩的な映像美で映し出した奇跡のデビュー作
監督・脚本・製作・編集・撮影: チャールズ・バーネット音響:チャールズ・ブレイシー
出演: ヘンリー・G・サンダース、ケイシー・ムーア、チャールズ・ブレイシー
原題: Killer of Sheep/1977 年/アメリカ/英語/80 分/モノクロ/スタンダード
1981 年 第 31 回ベルリン国際映画祭〈フォーラム部門〉国際批評家連盟(FIPRESCI)賞受賞
1982 年 ユタ/U.S.映画祭(現サンダンス映画祭) 最優秀賞受賞
1990 年 米国議会図書館「ナショナル・フィルム・レジストリ」選定
2002 年 全米映画批評家協会 編『The A List: 100 Essential Films』選出
2007 年 ニューヨーク映画批評家協会賞 特別賞受賞
日本劇場初公開
家族を養うため屠殺場で働くスタンは、空虚な日々を送っている。貧困と疲労、希望の乏しい現実の中で、彼は次第に感情を閉ざし、妻は孤独を募らせていく。UCLA 映画学科の修了課題として、ほとんど素人のキャストで完成させたバーネットの初長編。
音楽権利の問題から長らく公開が叶わず「幻の映画」とされていたが、完成から 30 年後の2007 年についにアメリカで劇場公開が実現。2025 年に完成した 4K 修復版では、ラストシーンを彩る楽曲が、バーネットが当初望んでいたダイナ・ワシントン「Unforgettable」に差し替えられた。
写実的なまなざしと、詩情豊かな映像美が融合した、アメリカ映画史に深く刻まれる傑作。
マイ・ブラザーズ・ウェディング
監督・脚本・撮影:チャールズ・バーネット 助監督: ジュリー・ダッシュ
編集: チャールズ・バーネット、エド・サンティアゴ(2008 年)
製作: チャールズ・バーネット、ゲイ・シャノン=バーネット
出演: エヴァレット・サイラス、ジェシー・ホルムス、ゲイ・シャノン・バーネット、ロナルド・E・ベル、サイ・リチャードソン
原題: My Brother’s Wedding/1983 年・115 分/2008 年・82 分〈ディレクターズ・カット〉/アメリカ/英語/カラー/スタンダード
日本劇場初公開
家族、友情、アイデンティティのあいだで揺れる青年の葛藤を描いた、哀しみと可笑しみが交錯する悲喜劇。
家業のクリーニング店を手伝いながら漫然と日々をやり過ごす、“大人になりきれない若者”ピアース。弁護士の兄が裕福な家庭の女性と婚約したことで、ピアースは居心地の悪さと劣等感を募らせる。同じ頃、刑務所から出所した親友ソルジャーと再会した彼は、家族への義務感と親友への忠誠心の板挟みになり、ある選択を迫られる。
長編二作目となる本作では、黒人コミュニティ内の階級差や世代間の心理的な隔たり、社会的成功から取り残された若者たちの苛立ちが、日常の隙間から静かに浮かび上がる。ピアースの優柔不断で不器用なふるまいが、ときに可笑しみを、ときに哀しみを呼び起こす、バーネット流のトラジコメディ。
202 6 年 2 月 7 日(土)〜シアター・イメージフォーラムにてロードショー全国順次公開