ロックをロックたらしめた最高最強の4人組
すべての反抗と冒険を肯定した魂のドキュメント
『THE WHO The Kids Are Alright 老いる前に死にたいね』が9月26日に公開!
ビートルズ、ローリング・ストーンズと共にブリティッシュ・ロックの黄金期を牽引し、ロックを革新し続けたスーパーバンド、ザ・フー。それにもかかわらず全盛期の来日がかなわなかった彼らの1964年から1978年までの代表曲のライブパフォーマンスを中心に、プロモーションフィルム、インタビューなどを含む、ロック・ドキュメンタリー映画史上の傑作。
数多い歴史的なシーンの中でもとりわけ、本作のために1978年5月にシェバートン・スタジオで撮影された、伝説的天才ドラマー、キース・ムーン最後の渾身のパフォーマンス(32歳での死の3か月前、メンバー全員が死力を尽くした)がフィーチャーされているのは貴重。監督ジェフ・スタインは、「直線的で年代順のドキュメンタリー」ではなく、「フィルムによるロックンロール復活集会」や「スリル満点のジェットコースター」のような作品を創り出そうと試みたという。
映画はキース・ムーン死後の1979年、73年のアルバム『四重人格』を原作とした映画『さらば青春の光』と同時公開されたが日本では未公開。ザ・フー レコード・デビュー60周年、そして、彼らのほぼすべての曲を作ったピート・タウンゼントが80歳を迎える2025年、完成から46年を経て、全曲歌詞字幕付きで日本初劇場公開!
マイ・ジェネレイション (1967年 スマザーズ・ショー)
ギター破壊+ドラム爆破というザ・フーの代名詞的な瞬間。
ピート・タウンゼントがギターを叩き壊し、キース・ムーンがドラムに仕込んだ爆薬が大爆発。ピートはこの爆発で耳を負傷し、以後、難聴を患う原因になったとも言われている。
歌詞にある「Why don’t you all f-f-fade away(消えちまえよ)」は、当時の大人社会への強烈な反抗心を表してる。ステージで楽器を破壊するのも「表現」だった。社会への怒り、フラストレーション、若者の叫びを音楽と行動で伝えていた。
ババ・オライリィ (1977年 キルバーン・ライブ)
ピートのシンセとギター、ロジャーの迫力ボーカルが火を吹く名演。ジョン・エントウィッスルのベースが主役級で地鳴りのように曲を支えている。キース・ムーンのドラムは「もはや人間じゃない」レベルのパワー。
タイトルは、ピートが影響を受けたインドの神秘家・霊的指導者メヘル・バーバーとミニマル・ミュージックの代表的な作曲家テリー・ライリーの名前から。
歌詞は、ドラッグ、反抗、疎外感の中でどう生きるかっていう問いかけ。有名なフレーズ「Don’t cry / Don’t raise your eye / It’s only teenage wasteland」は、10代の無力感と虚無感を表してる。が同時に、「それでも前を向いて生きろ」という強いメッセージも感じられる。
クイック・ワン (1968年 ザ・ローリング・ストーンズ ロックン・ロール・サーカス)
ミニ・ロックオペラ的な曲。テンポが何度も変わり、感情の振れ幅も大きい。
ローリング・ストーンズの企画ライブ、ロックン・ロール・サーカスに参加したときの映像で、あまりに良すぎてストーンズ側が嫉妬しその映画上映を封印したという伝説もある。
ピートが後に『トミー』『四重人格』で本格的に取り組むロックオペラの原型。浮気された彼氏と彼女のドラマを音楽で演じている。曲中で曲調が何度も変わり寸劇的に演じられる演劇とロックの融合。
無法の世界 (1978年 シェバートン・スタジオ)
映画のラストを飾る圧巻のパフォーマンス。音の厚みとエネルギーが凄い。キース・ムーン最後のフルパフォーマンス映像としても非常に貴重。ピートの風車奏法(腕を大きく回しながら弾く)も炸裂。ロジャーの「YEEEEAAAAHHHHH!!!!」と叫ぶラストシャウトは鳥肌もの。すべてが怒りと失望と希望を込めた全力演奏。
歌詞は「革命が起きても、また同じような支配が始まるだけだ」っていう冷めたリアリズム。
ラストの歌詞「Meet the new boss / Same as the old boss(新しいボスに会ったけど、前のボスと同じだった)」が有名。
見終わった後、世界がちょっとだけ荒々しくてかっこよく見えるはずだ。
キース・ムーンがスーツでふざけ倒すシーン、インタビュー中に暴走するシーンなども満載。まじめなドキュメンタリーというより、バンドの狂気、ユーモア、若さがそのまま詰まっている。 “ロックってこういうものだったんだ”ということが体感できる、ロック・ドキュメンタリーのお手本みたいな一本。ザ・フーの尋常ではないエネルギーに引き込まれ、見終わった後、はいつくばっても生きてみようと思えるはずだ。
THE WHO The Kids Are Alright 老いる前に死にたいね
2025年9月26日(金)角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、吉祥寺UPLINK他にて公開
出演:ザ・フー/ロジャー・ダルトリー/ジョン・エントウィッスル/キース・ムーン/ピート・タウンゼント/リンゴ・スター
監督:ジェフ・スタイン
音楽監督:ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)
楽曲:マイ・ジェネレイション/アイ・キャント・エクスプレイン/ババ・オライリィ/シャウト・アンド・シミー/ヤング・マン・ブルース/トミー、聞こえるかい?/ピンボールの魔術師/シー・ミー、フィール・ミー/エニィウェイ・エニィハウ・エニィホエア/サクセス・ストーリー/恋のピンチヒッター/リリーのおもかげ/マジック・バス/ハッピー・ジャック/クイック・ワン/くもの巣と謎/スパークス/バーバラ・アン/ロードランナー~マイ・ジェネレイション・ブルース/フー・アー・ユー/無法の世界/不死身のハードロック/キッズ・アー・オールライト
1979年/イギリス/英語/110分/5.1ch/原題:The Kids Are Alright/©Who Group Ltd /字幕:福永詩乃
配給:オンリー・ハーツ (創立35周年記念映画①)
営業:トリプルアップ
宣伝:ブライトホース・フィルム