ブルース&ソウル・レコーズ

【ライブレポート】9月28日(土)ブギ連LIVE「ブギる心」@東京キネマ倶楽部

東京を皮切りに、名古屋、大阪と回ってきた、ブギ連「ブギる心」ツアーの最終公演を幸運にも観覧できることになった。

歴史のある歓楽街の入り口、元キャバレーだったという時代を感じるビル「東京キネマ倶楽部」。

同ビル内の会場内に入ると、団塊世代の煌めきの名残を感じさせる独特の空間。

BGMは、古き良きブルース&ソウル。ギュウギュウに詰め込まれた観客たちから聞こえてくる会話も独特の熱を帯び、否が応でも期待が高まっていく。

開演を待ちながらとりとめもなく考えていた。

ブルーハーツを通っていない人間の方が珍しい、当のライターの世代。

あの甲本ヒロトが、今何故新しい挑戦をするのか? それも何故ブルースなのか?

ブルース・ギターのレジェンド、憂歌団の内田勘太郎とどんなライヴをするのか?

そうこうするうちにいよいよ開演時間。入場曲は70年代の名曲〈誘惑のブギー〉。思わずニヤリとさせられる。


撮影:岩佐 篤樹

内田、ヒロトが現れると待ちきれなかったファン達の歓声が爆発。

ヒロトも彼らしいユーモラスな仕草でそれに答える。

内田が、土の匂いのするようなブルース・ギターのフレーズを弾きあげる。

独特の空気を作ってから、淡々とリズムを刻み出す。一曲目〈ドゥー・ザ・ブギー〉。観客は手拍子で答える。

ギターと掛け合うようにヒロトのブルースハープ。

熟練のブルース・ユニットのような安定した演奏。そんな中、爆発するヒロトのシャウト「すぐやりたい!」「みなぎってる!」

最初の疑問がいきなり吹っ飛んだ。

天性のヴォーカルとそれを受け止め拮抗するギター。観客とのコール・アンド・レスポンス。

会場中を自然に一体化させていく。

見つめあって笑いながら2曲目〈あさってベイビィ〉

内田の横で、ギターを弾く指を子供のように覗き込むヒロト。


撮影:岩佐 篤樹

キャバレーの照明がステージを照らし、会場中が名手の演奏に魅入っていく。

そのまま〈オラ・ネル・ブルース〉、〈ひたすらハイウェイ〉。

観客の熱狂、呼びかけに答えるヒロト「さわげ! さわげ!」

会場はさらに盛り上がっていく。 内田が紡ぎ出す繊細なフレーズ。

観客が耳を澄ますと、グルーヴの深淵へと観客を導いていく。


撮影:岩佐 篤樹

〈誰かが見てる〉、〈バットマン・ブルース〉。

何処か不吉な匂いもまた、ブルースならではの魅力。その中で、内田のギターは絶妙に観衆のバランスを崩させて、何事もなかったかのように揺り戻す。

悪魔と踊っているかのように振り回され、気づけば中毒になっていく。

ブルース・ギターという一言では語れないが、名手の演奏とはこういうことかと、自然に虜にさせられていく。

気づけばライヴも中盤。二人の漫才のような掛け合い。

偶然遭遇した沖縄のパン屋の庭先で結成が決まったというゆるい小話。とはいえ、こうも本物を見せつけられていると、そこにも運命的なものを感じさせられてしまう。


撮影:岩佐 篤樹

観客の熱狂を受けてヒロト「日頃の憂さを晴らして帰ってください」

始まる〈闇に無〉。ゆったりとしたグルーヴに乗せてソウル・シンガーのようにシャウトする。


撮影:岩佐 篤樹

テンポアップし、内田が語るように歌う〈グッバイ クロスロード〉。

ヒロトのブルースハープが反応し、ワイルドなソロをとって会場を盛り上げる。

デルタ・ブルースのような土臭い演奏。曲が終わると大歓声に包まれる。


撮影:岩佐 篤樹

一曲ごとにテンションが高まっていく。

同名の二人のサニー・ボーイ・ウィリアムスンのプレイ・スタイルをヒロトがハープで吹き分ける〈ロケット18〉、続いて、内田の持ち曲〈そんなもんだろ〉をヒロトは自分の曲のように歌い切る。

〈軽はずみの恋〉の一節「夏の間だけ、誰かそばにいて」

どの曲でも、ヒロトの歌声は歌詞に複雑な響きを与える。言葉にしにくい「何か」を歌にすることで伝えていく。

ライヴも後半になり、アップテンポのブルース・ロック〈ナマズ気取り〉。

これぞ真骨頂。ヒロトらしいワイルドな疾走感。見慣れたスタイルのはずだが、そこで終わらせないのが内田のギター。

この二人でしか出せない新しい色で会場を染めていく。

陽気な猥雑さを感じる〈ヘビが中まで〉。当てられた観客が「黒光り」をコール・アンド・レスポンス。

そのまま会場は最高潮の盛り上がりを見せて突っ走っていく。


撮影:岩佐 篤樹

最後の曲〈ブギ連〉が始まると、内田の変幻自在のギターにのせて二人は繰り返す「俺たちブギ連」。

ブルースという、ともすれば古くも捉えられてしまうジャンルの音楽を武器に、いまの音楽シーン、世の中に挑んでいる。彼らの宣言のように聴こえた。

最後の曲が終わっても、観客からのアンコールが鳴り止まない。

アンコールを受けて、ブギ連のTシャツを着た二人が現れた。

アンコールに応えて〈おそうじオバチャン〉、憂歌団の名曲に続き〈ラブ・ミー・テンダー〉をヒロトが歌い上げる。

ストレートな歌詞と歌。感情が溢れ出す。ヒロトは歌う「きっとブルースが俺を呼んだのさ」

最後はスロー・ブルースでハープとスライド・ギターの掛け合い。熱しきった会場を和ませていく。

その中で続く漫談のような掛け合い「おえりゃあせんのう」「おえりゃあせんのう」あけっぴろげな空気。

雑談のようにセッションできるブルースという音楽。最初の疑問に立ち返る。

なぜ彼らがブルースを選んだのか「きっとブルースが呼んだのさ」きっとそういうことだろう。

ブルースでしか語れない音楽と、この二人でしかできない音楽がそこには確かにあった。

貴重なライヴを目撃できた幸運に感謝しつつ、この取り組みの続きに期待したい。

(土居 充)

ブギ連/公式サイト
www.sonymusic.co.jp/artist/boogie-ren/

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ブルース&ソウル・レコーズ No.148
bsrmag.com/magazine/bsr148/

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