RECORD
2018.5.9

SAM FRAZIER JR. /Take Me Back

バーミングハムのシンガー 60/70年代蔵出し音源が初CD化
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 1943年、アラバマ州バーミングハム近郊に生まれたサム・フレイジャー・Jr.の足跡は、ライナーノーツに詳しい。サニー・ボーイ二世やスリム・ハーポの影響でハーモニカを吹き、地元で音楽活動を始めると66年に初レコーディングの機会に恵まれる。その後、アラバマ州バーミングハムにスタジオを構えていたプロデューサー、ニール・ヘンフィルの元で録音を行った。そこでシングルを1枚出しており、かつて編集盤CD『The Birmingham Sound: The Soul Of Neal Hemphill』のVol.2に収められていた(本盤の・と・)。黒人カントリー・シンガーとしても活動していたフレイジャーは、西海岸に行ってジョニー・オーティスのレヴューでも歌ったというなかなかに波乱万丈な人生を送ってきている。

 本盤収録曲は一部を除き、ヘンフィルの元で録音したものの長らくお蔵入りしていた音源となる。2015年にデジタル販売されていたが、CD化は初のようだ。ライナーには1969~71年にかけての録音とあるが、もう少し後年のものもありそうだ。シングル曲の・や・の他、70年代前半のモダンな感覚のあるサザン・ソウルが多く聴ける。フレイジャーは少しガサついた声でハードに歌う場面もあるが、ラフではなく、丁寧に歌い上げる。ヘンフィルはフェイムのスタジオ・ミュージシャンも使っていたが、それを思わせるバンド・サウンドも聞かれ、興味深い。残念な点は音質が良くないこと。テープの保存状態が悪かったのかもしれない。なお、フレイジャーは今年ミュージック・メイカーからデジタルで新録アルバムを発表、カントリーやブルース、ゴスペルを披露している。声は少し枯れてはいるが、まだまだ元気だ。(濱田廣也)

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