イギリスを代表するソウル・シンガー、ジェイムズ・ハンター。2026年1月16日リリースの待望のニュー・アルバム『Off The Fence』、そして巨匠ヴァン・モリソンとの再共演について、その舞台裏を聞いた。
[取材・文/Jimmie Soul]photo by JIM HERRINGTON
Jimmie「伝説的なヴァン・モリソンと共演した新曲“Ain't That A Trip”を聴いたのですが、完全に心を奪われました。彼とこの素晴らしい曲を作ることになったきっかけや、裏話があれば教えてください」
ジェイムズ・ハンター「もちろん。ヴァンとは長いこと断続的に一緒に仕事をしています。1996年にも一度レコーディングをしたことがありました。当時、彼に数曲(一緒にやらないかと)提案したのですが、彼は私が書いた曲をどれも気に入らなくてね(笑)。それでその時は、ブルース・シンガーのボビー・ブランドのカヴァーを2曲やったんです。でも今回は、私が書いた曲を彼に送ったら、とても気に入ってくれました。それでようやく粘り強い説得と賄賂(笑)の末、私のオリジナル曲を一緒にやることができたんです」
Jimmie「30年越しの夢が叶いましたね! ところで今回、レーベルをDaptoneからEasy Eye Soundに変えた理由は何だったのでしょうか?」
ジェイムズ・ハンター「基本的には、できるだけ早くレコードを出したかったというのが理由です。あいにくダップトーンは多くのプロジェクトを抱えていて手一杯の状態だったので、リリースが遅れそうだったんです。それで、もっと早く出せる別のレーベルに移れるよう彼らと交渉しました。芸術面でも人間関係の面でもダップトーンは非常にフィットしていたので残念ではありますが、イージー・アイ・サウンドの人たちも好きですし、ここもうまくいくと思っています」
Jimmie「レコーディングはイギリスで行ったのですか? また、全員が同じスタジオに集まって録音したのでしょうか」
ジェイムズ・ハンター「いえ、ダップトーンの新しいスタジオ・カリフォルニアのリヴァーサイドで録音しました。元々は学校だった1910年築の建物で、ライヴ演奏を行う大きな部屋があり、音が部屋の中でうまく跳ね返るので、非常に立体的で奥行きのあるサウンドになるんです。録音は全員が一度に集まります。多少のオーヴァーダブはしますが、基本はほとんどいつも全員のライヴ演奏です。ステージで演奏するのと同じ感覚でできるので、このやり方が一番“楽”だと感じることが多いですね。音を一層ずつ重ねていくやり方は、ドラマーが私のヴォーカルに反応して叩き方を変える、といった相互作用ができません。ライヴ形式だからこそ、リアルな体験のような音になっているのだと思います」
Jimmie「だからあんなにオーセンティックな響きがするのですね」
ジェイムズ・ハンター「そうですね、リアルな体験のような音になっていると思います。ちなみにバッキング・ヴォーカルの多くは自分でやっています。3つのヴォーカルを重ねていく作業は楽しかったですよ」
Jimmie「あなたの楽曲にある、あのキャッチーなホーンのリフが本当に大好きなんです」
ジェイムズ・ハンター「ありがとうございます。打楽器的なリフになることがありますね。バリトンとテナーのサックスを使うと、オクターブ違いで同じ音から始めて、途中でハーモニーになり、また離れていく……というような遊びができるので、楽器の数以上の厚みを感じさせることができるんです」
Jimmie「さて、新しいアルバムを携えてのツアーの予定はありますか?」
ジェイムズ・ハンター「はい。すでにフランスなどヨーロッパ各地での公演が決まっています。いつか日本にも行けたらいいなと思っています。実はこれまで日本からはあまり関心を持たれていなかったのですが、あなたが最初に声をかけてくれたんですよ」
Jimmie「本当ですか! 私が最初にコンタクトを取ったガイド役になれたなんて、誇りに思います」
ジェイムズ・ハンター「ええ、あなたが宣伝してくれれば、どうなるか分かりませんからね。実は、私は日本の映画史が大好きで、日本には親近感を持っているんです。黒澤明の大ファンで、特に志村喬は私のお気に入りの俳優の一人です」
Jimmie「黒澤映画で一番好きな作品は何ですか?」
ジェイムズ・ハンター「2つあります。『七人の侍』と『生きる』です。『生きる』のあの男が、『七人の侍』の侍と同じ俳優だなんて信じられません。彼は天才です」
Jimmie「へー。そうなんですね。ぜひ日本でのライヴも実現しますように!」
THE JAMES HUNTER SIX
Off The Fence
(Easy Eye Sound)
easyeyesound.com/
www.jameshuntermusic.com/
2026年1月16日発売


















