2025.9.23

“最も知られていない偉な映画監督” チャールズ・バーネット 初期代表作『キラー・オブ・シープ』『マイ・ブラザーズ・ウェディング』が 4K修復版で本劇場初公開

Jack Drummond (Stan, Jr.) to the left and unidentified children in Charles Burnett's KILLER OF SHEEP, a 2025 restoration by UCLA Film & Television Archive, Milestone Films, and the Criterion Collection. Picture Restoration: Illuminate Hollywood. Photochemical Film Preservation: Film Technology Company. Sound Mix and Restoration: Audio Mechanics. Second Soundmix and Restoration: Larry Blake. Audio Transfers: DJ Audio, Endpoint Audio Labs. Music Rights: Chris Robertson, Global ImageWorks and Milestone Films. Restoration supervised by Ross Lipman and Jillian Borders in consultation with Charles Burnett. A MILESTONE FILMS and KINO LORBER RELEASE. Courtesy of Milestone Films and Charles Burnett

ハリウッド映画とは異なる視点から黒コミュニティの常を描き、インディペンデント映画に新たな地平を拓いた映画作家、チャールズ・バーネット。多くの批評家から「アメリカで最も知られていない偉な映画監督にして、最も才能ある黒監督」と称される彼の伝説的傑作『キラー・オブ・シープ』と、再評価を経て甦った『マイ・ブラザーズ・ウェディング』が、最新の4K修復版として本劇場初公開されることが決定。
この作を取り上げる特集上映「チャールズ・バーネット エブリデイ・ブルース」は、2026年2、シアター・イメージフォーラムを切りに全国順次公開されます。

<公開概要>「チャールズ・バーネット エブリデイ・ブルース」
<上映劇場>シアター・イメージフォーラム(東京)ほか全国順次公開予定
<公開日>2026年2月予定
<上映作品>
・『キラー・オブ・シープ』(1977年/米国/80分/モノクロ)
・『マイ・ブラザーズ・ウェディング』(1984年・115分/2008年・82分〈ディレクターズ・カット〉/米国/カラー)
※上映はディレクターズ・カット版
※いずれも4Kデジタル修復版/日本劇場初公開

チャールズ・バーネットについて
Portrait of Charles Burnett. Courtesy of Milestone Films and the Walker Art Center.

1944年、ミシシッピ州に生まれ、ロサンゼルスのワッツ地区で育つ。1960年代末にUCLA芸術学部(現・UCLA演劇・映画・テレビ学部)で映画製作を学んだバーネットは、アフリカ系アメリカ人を中心とする学生仲間たちと協力し合いながら、ハリウッドがステレオタイプに描いてきた黒人像に対して新しい視点を提示する映画を制作。このUCLA発の潮流はのちに「L.A. Rebellion」と呼ばれ、その精神を体現した代表作『キラー・オブ・シープ』は、黒人コミュニティの日常を生活者の視点から描いた先駆的作品として国際的に高く評価されている。2017年にはアカデミー名誉賞を受賞。彼の作品はバリー・ジェンキンスやエイヴァ・デュヴァーネイといった現代の映画作家に大きな影響を与え、ショーン・ベイカーをはじめとする多くの監督からも深い敬意を集めている。

上映作品

『キラー・オブ・シープ』(1977年/米国/80分/モノクロ)

ロサンゼルス・ワッツ地区を舞台に、屠殺場で働く男性とその家族の常を詩的に描いた初編。UCLA映画学科の修了課題として制作された本作は、1981年のベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したものの、楽権利の問題かららく商業公開されず、幻の映画”と呼ばれた。1990年にはアメリカ国フィルム登録簿に、2002年には全映画批評家協会の「必の100本」に選出されるなど、公開されないままい評価を積み重ねてきた稀有な作品である。2007年のレストア公開を機にようやく広く「再発」され、今もなお新世代の映画に参照され続けている。今回の4K修復版では、ラストシーンを彩る楽曲が、バーネットが当初望んでいたダイナ・ワシントン「Unforgettable」に差し替えられた。

『マイ・ブラザーズ・ウェディング』(1984年・115分/2008年・82分〈ディレクターズ・カット〉/米国/カラー)
※上映はディレクターズ・カット版

成功した兄とその裕福な婚約者に劣等感を抱く年が、刑務所帰りの親友との再会を機に、家族への責任と友情の間で揺れ動く編第作。制作時の編集権をめぐるトラブルから未完成版(115分)がプレミア上映されたのち、らく商業公開の機会を失っていたが、2007年に監督が再編集をい、ディレクターズ・カット(82分)が完成。当初の意図に近い形での公開が実現した。コメディを交えつつ、黒コミュニティにおける階級間の緊張や世代間のギャップを鋭く描いている。

国際的再評価を経て、本のスクリーンへ

2007年に『キラー・オブ・シープ』と『マイ・ブラザーズ・ウェディング』のレストア版がアメリカで公開されたことは、「失われた傑作の復活」としてチャールズ・バーネット再評価の契機となりました。その前年には、トニ・モリソンのキュレーションによる展覧会の環としてルーヴル美術館で回顧上映がわれ、2011年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)でバーネットのキャリアを望できる規模な回顧上映が開催されています。とりわけMoMAでの上映は、バーネットがブラック・インディペンデント映画の枠を超えて、世界映画史における重要な存在であることを強く印象づける機会となりました。このたびの特集上映「チャールズ・バーネット エブリデイ・ブルース」は、こうした国際的再評価を背景に企画されたものであり、本ではイベント上映されたのみであったバーネットの初期代表作を、新たに完成した4K修復版の鮮やかな映像で体験できる貴重な機会となります。

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