◆復活！石川二三夫のハーモニカをフィーチャー
ファンク、ブルース＆ソウル・ミュージックのライヴ界隈で活躍する百戦錬磨のメンバーによるブルース・バンド「Drop：4th Coming」が3曲入りの2ndEP『DROP #2』をリリースした。今回は療養から復活を見せた“ブルース・ハープ・マスター”の石川二三夫を迎え、グルーヴがさらにカラフルに躍動している。石川が持ち合わせたセクシーさも引き出されており、石川二三夫＝シカゴ・ブルースというイメージを持つ人にこそ、ぜひ聴いてほしい。
「Drop：4th Coming」はジャズ/ヒップホップ・バンドSANABAGUN.／Ryozo Band等で活躍するベーシスト大林亮三の呼びかけにより2018年にスタート。小沢健二、堂本剛、久保田利伸、Momiji & The Bluestonesなどで広く活動するドラマー白根佳尚、ギターの小林“Bobsan”直一（マウンテン・モカ・キリマンジャロ/EMILAND）が集結したところに、ブルースやソウルを歌い続けてきた高橋大輔（vo. ｇ.）が呼び込まれてスタートしている。
Drop:4th Coming Feat.石川二三夫
『DROP #2』 CD ¥1,500
1.Hey!(Rise Again)
2.Keep On Groovin' Me Baby
3.Stomach Ache
linkco.re/qnfn61mA（配信は（1）のみ）
◆希望のメッセージ “Hey!（Rise Again）”
石川二三夫の参加は、「一緒にやろう」という石川からの申し出で実現した。
2021年9月、パンデミックの閉塞感の中でのことだ。シンガー高橋大輔と石川二三夫が知り合ったのはおよそ30年前、高橋が10代だったころに遡る。月日は流れ、ようやくベテラン石川と腕を上げた高橋の人生が交わることになったのだ。
しかも「せっかくだからオレのやったことのない活きのいいメンバーでやりたい！」が石川からのオーダー。それならDrop：4th Comingしかないと考えた高橋はメンバーを紹介し、プロジェクトは動き出したのだった。
ところが一寸先は闇である。直後に、石川自身が病気療養のため休業を余儀なくされてしまったのだ。復帰はいつになるか分からないと言われ動揺が走るも、メンバーは帰りを待ち続けた。
本作はそんな願いの先にある生きる悦びにあふれたブルースなのだ。
彼らの共に演奏できるという彼らの喜びにあふれるのが、日本語で歌われる“Hey!（Rise Again）”だ。日はまた昇る、立ち上がれという歌詞は、復帰の祝いであると同時にさまざまな理由で踏み出せないでいる人たちへの応援メッセージでもある。
他のカヴァー2曲も、石川のソロ・アルバム『レッド・ホット・ブギ』にも収録されていたフェントン・ロビンスン“Keep On Groovin' Me Baby”、そしジュニア・ウェルズのユニークな“Stomach Ache”とスペシャル・コラボをふんだんに楽しんだ選曲だ。
◆踊れ！と言われなくても身体の動くライヴ
2024年7月23日には、東京・高円寺JIROKICHIでリリース・パーティが開催された。 “Tramp”“Little By Little”“Someday”に“にフェントンの“Somebody Loan Me A Dime“あるいは“You Don’t Love Me”、あるいは“Take Me To The River”。
奇をてらった選曲ではないが、どのナンバーも鮮度が高い。血が流れているのを感じる。大林と白根が繰り出すリズムは低すぎず、弾けすぎず、鮮度のよい音が確かに身体の芯を突いてきて「踊れ～」なんて促されなくても自然に身体が動く。そんな脈打つリズムの波を飄々とつかみながらも時に鋭く斬り込むグルーヴ・マスター小林“Bobsan”直一のギターも魅せる！ リズムの渦を身体全体に感じて、高橋のギターやシャウトもいつも以上におおらかだ。
こうした若い彼らの演奏にスイッチが入ったか、石川二三夫も客席を練り歩いたりするなど、被っているキャップを飛ばしそうなエネルギッシュなステージは完全復活を思わせた。
主に東京・三軒茶屋にあるDJバー「32016」（通称梅ちゃんバー）で開催されるイベント「The Blues Party Drop」でホスト・バンドを務めてきた彼らにとって、JIROKICHIは初登場。数々の伝説的なブルース・ライヴを繰り広げてきた空間に、世代を超えて新たなエネルギーが吸い込まれていく。ブルースは今も尚さまざまな界隈で、脈打ち続けている。それを実感できた夜だった。
撮影 妹尾みえ（ライヴのみ）
Instagram : www.instagram.com/thebluesparty_drop/
YouTube : www.youtube.com/@thebluespartydrop5207
thebluesparty.drop@gmail.com
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