一部で熱狂的な支持を得るブルースマン、パパ・ライトフット。1954年録音の“Wine Women Whiskey”（Imperial 5289）がとりわけ有名で、強烈に歪んだアンプリファイド・ハーモニカとダミ声が暴れ回る同曲は「ダウンホーム・ブルース・ファンのウォント・リストに常にランクされている」と言われるほどの人気曲（かつレア盤！）。1952年録音の“Jumpin’ With Jarvis”（Aladdin 3304）が、異例のヒットを記録したCDコンピ『Do The Blues 45s! - The Ultimate Blues 45s Collection』（Think! THCD-426）に収録されたのも記憶に新しい。
そのパパ・ライトフットの幻のレコードと言われる1950年録音の2曲がCD復刻されたというのだから驚いた。ブルース・イメージ社が毎年発売しているブルース・カレンダーの2019年版付属CDに収録されたその2曲、“Winding Ball Mama”と“Snake Hippin’ Daddy”は、サルタン・レーベルから1950年に発売された（Sultan 1425）。ディスコグラフィには掲載されていたものの、これまで一度も復刻されることはなく、「幻の一枚」とされていた。そのオリジナルSP盤を所有していたのは、世界的ブルース・コレクターとして知られる、故ジョージ・ポーラス氏。それが友人であるブルース・イメージ社のジョン・テフテラー氏に渡り、今回同社のブルース・カレンダー付属CDに収録されることとなった。ポーラス氏の友人ら一部の人たちだけに楽しまれていたその音源を解放したテフテラー氏に感謝したい。なお、オリジナルSP盤を発見したいきさつなどは、同カレンダーに記されているので、ぜひそちらをご覧ください。音源もCDを聴いてのお楽しみだ。
付属CDにはパパ・ライトフットの他にも、ミシシッピ出身と思われる謎のブルースマン、ウィリアム・ハリスの最近発見された1928年録音の2曲など、戦前ブルース／スピリチュアルズの名演がたっぷり収録されている。本編のカレンダーにはこれまた珍しいマ・レイニーのポートレートが掲載されていて驚く。これら貴重な資料を毎年欠かさず発掘してくるテフテラー氏に脱帽である。
2019 Blues Calendar
Blues Images presents... 23 Classic Blues Songs From The 1920’s Vol.16
(BIM-116) [CD]
1. PAPA GEORGE LIGHTFOOT: Winding Ball Mama
2. BLIND LEMON JEFFERSON: Piney Woods Money Mama
3. JIM JACKSON: Love Sick Blues
4. MEMPHIS MINNIE: Ma Rainey
5. BLIND BLAKE: Too Tight Blues No.2
6. THE BEALE STREET SHEIKS: Jumping On The Hill - Test [Unreleased]
7. LEOLA B. WILSON with BLIND BLAKE] Black Biting Bee Blues
8. DAD NELSON: Coon Can Blues
9. PAPA CHARLIE JACKSON: Ash Tray Blues
10. CHARLEY PATTON: Oh Death
11. JOE WILLIAMS: My Grey Pony
12. SAM BUTLER: Christians Fight On, Your Time Ain't Long
13. SAM BUTLER: Heaven Is My View
14. PAPA GEORGE LIGHTFOOT: Snake Hipping Daddy
15. BLIND LEMON JEFFERSON: Low Down Mojo Blues
16. RAYMOND BARROW: Walking Blues
17. CHARLEY PATTON: Troubled ‘Bout My Mother
18. LOTTIE KIMBROGH: Don't Speak To Me
19. OTTO VIRGIAL: Got The Blues About Rome
20. OTTO VIRGIAL: Seven Year Itch
21. FREEZONE: Indian Squaw Blues
22. WILLIAM HARRIS: I'm A Roamin' Gambler
23. I Was Born In The Country - Raised In Town