2018.11.8

マスル・ショールズ・トリビュート・アルバム『 Small Town Big Sound』

Muscle Shoals - Small Town Big Sound

 アメリカ南部、アラバマ州マスル・ショールズ。その名は1960~70年代のソウル・ミュージックやロックを愛聴するファンにとって、特別な響きを持っている。

 同地のプロデューサー/ミュージシャン、リック・ホールが創設したフェイム・スタジオ、彼に鍛えられたセッション・ミュージシャンたちが立ち上げたマスル・ショールズ・サウンド・スタジオ。この2つのスタジオは数々の名曲を生み出したスタジオとして名高い。後者を設立したのが、ジミー・ジョンスン(ギター)、デイヴィッド・フッド(ベース)、ロジャー・ホーキンス(ドラムス)、バリー・ベケット(キーボード)。マスル・ショールズ・リズム・セクション、あるいは「スワンパーズ」と呼ばれた4人だ。彼らの物語は2012年製作のドキュメンタリー映画『黄金のメロディ マッスル・ショールズ』(原題“Muscle Shoals”)で詳しく描かれている。

 このたび発売されたアルバム『Muscle Shoals - Small Town Big Sound』は、そのタイトルが示す通り、アラバマの小さな町から世界へと広まった音楽に敬意を表したトリビュート企画盤だ。2018年1月21日に亡くなったリック・ホールに捧げられ、本作収録曲の多くが彼のフェイム・スタジオで録音されている。

 参加メンバーの顔ぶれは幅広く、ケヴ・モに始まり、グレイス・ポッター、スティーヴン・タイラー(エアロスミス)&ヌーノ・ベッテンコート、マイケル・マクドナルド、ヴィンス・ギル&ウェンディ・モートン、アリスン・クラウス、マイク・ファリス・ウィズ・ザ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマらが集った。マスル・ショールズの名をロック・ファンの間に広めたローリング・ストーンズの「ブラウン・シュガー」や「ワイルド・ホース」の他、クラレンス・カーター、エタ・ジェイムズ、ステイプル・シンガーズらによるサザン・ソウル名曲が多く取り上げられている。

 バック・バンドにはスワンパーズのジミー・ジョンスン、デイヴィッド・フッドの名があり、またスプーナー・オールダム(キーボード)、クレイトン・アイヴィ(ピアノ)、ジェシー・ボイス(ベース)ら、マスル・ショールズのサウンドを生み出したミュージシャンも参加。マスル・ショールズの音楽遺産に世代を超えて新たな息吹を与えている。

Various Artists
Muscle Shoals - Small Town Big Sound
(Dreamlined / BMG 538420062) [CD]
1. KEB’ MO’: The Road Of Love
2. GRACE PORTER: I'd Rather Go Blind
3. STEVEN TYLER & NUNO BETTENCOURT: Brown Sugar
4. JAMEY JOHNSON, WILLIE NELSON, CHRIS STAPLETON & LEE ANN WOMACK: Gotta Serve Somebody
5. ELI “PAPERBOY” REED: Steal Away
6. KID ROCK: Snatching It Back
7. ALOE BLACC: I'll Take You There
8. MICHAEL McDONALD: Cry Like A Rainy Day
9. VINCE GILL & WENDY MOTEN: True Love
10. ALISON KRAUSS: Come And Go Blues
11. MIKE FARRIS with THE BLIND BOYS OF ALABAMA: Respect Yourself
12. ALAN JACKSON: Wild Horses
13. BRENTLY STEPHEN SMITH of SHINEDOWN: Mustang Sally
14. CHORD OVERSTREET: We've Got Tonight
15. TOM JOHNSTON & DELBERT McCLINTON: Giving It Up For Your Love

ブルース&ソウル・レコーズ No.145(2018年12月25日発売)にてアルバム・リヴューを掲載

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