2019.6.26

6月26日初アルバム発売!内田勘太郎&甲本ヒロト「ブギ連」インタビュー!

ブギ連

 こんなことが起きたらいいな、が起きてしまった。内田勘太郎(ギター)と甲本ヒロト(歌/ハーモニカ)の二人が「ブギ連」を名乗り、アルバムを一枚作ったのである。それもオリジナルのブルースとブギが詰まったものを。

 アルバムの発売情報を耳にし、思わず「やった!」と声が出た人も多いだろう。憂歌団やソロ活動などを通して、唯一無二のスライド・ギターでブルースを奏でてきた内田勘太郎が、ブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズと、常に最高のロック・ヴォーカリストであり続ける甲本ヒロトとデュオを組んだのだから、これは興奮せずにはいられない。いったいどんなブルース&ブギを聞かせてくれるのか。ソワソワしながら届いた音源を耳にすると、かなり上乗せした期待のはるか上空を悠然と飛んでいく。

 長年ブルースを愛聴してきた人であれば、本作を聴いてニヤニヤがとまらないはずだ。アルバム『ブギ連』の収録曲には、歌い継がれ、聴き継がれてきたブルースの名曲の影がぴったりと張り付いている。かといってコピーでもなく、カヴァーでもなく、この二人でなければ生まれなかったとしか言いようがない曲が並んでいる。

 6月26日にファースト・アルバムが発売され、7月4日には発売記念ライヴ「ブギる心」(渋谷クラブクアトロ)、9月には東名阪ツアーも決まった二人に「ブギ連」誕生のいきさつなどを聞いた。

* * *

──お二人の共演アルバムが出るとは驚きでした。

内田「5年くらい前にね、横浜で僕がやっているセッションのライヴがあって(2013年11月)、それにヒロトさんにゲストで来てもらった。二人でフルステージのセッションにしたかったから、ヒロトさんのお家におじゃましてちょっと練習して。お題はブルースでやろうぜって、お互い好きだということを知ってましたから。だけどコピーとかやるタイプじゃないから、日本語のオリジナルでやることにして、ヒロトさんが詞を書いてきてくれた。それで2時間くらいのステージをやった。歌が強力なのは知っていたけれども、ハープ(ハーモニカ)があんなにいける人だとは思ってなくて、技巧派ではないんだけど、サウンドの分厚さとかが、リトル・ウォルターの一番いい時の音色に近いというかさ、そういうのを感じさせてくれるハーピストだったから驚いた。これならすぐにでもレコードができちゃうと思って、そのセッションが終わって打ち上げのときに、ねぇねぇ、ブルースのアルバムつくろうやって言ったけど、意外とまあ相手にされなくて」

甲本「いやいや、光栄なことなんですけど、自信が足りなかったんです。軽く受けちゃいけない話だなって、ずっと何年間も半分逃げているような形でしたけど、やってみたら楽しかったです」

──お二人の最初の出会いはいつですか。

内田「(ブルーハーツの)〈リンダリンダ〉のプロモーション・ビデオを見て、すごい人が出てきたと思った。ブルースこそ心の底からやらなきゃいけないのに、形式があるために形だけ作りがちなこともあるなあ、そこは気をつけなきゃいけないなと思うことがあったときに、彼らが出てきて、やっぱりこれだよなと。そのあとに彼らがイベントに憂歌団を呼んでくれて」

甲本「僕たちが人気が出てきた頃に、好きな人を呼んでイベントをやらせてもらうことになって、憂歌団とボ・ガンボスを呼んでもらいました。最初は出演してもらうのは無理だと思っていたけど、わりとあっさりとOKしてくださって、1986, 7年とか、そのくらいですね」

内田「読売ランドだったね。その後、僕らのコンサートに来てくれたことがあったり、打ち上げで一緒に飲んだりね。去年あるお店のお祝いに一升瓶持っていったら、そこで一緒になってそれを飲んでしまい……」

甲本「まどろみの中、このレコーディングが決まっていた……まさか、こんなことに」

内田「その場にお互いのマネージャーもいたからどんどん話が決まって、家に行って練習したり」

甲本「だけど実際にテープが回り始めるとその通りにはならない」

内田「ならない。そのときの感じにしかならない」

甲本「例えば僕がちょっとしくじったなって感じで、勘太郎さんもう一回やろうよって言ったら、今度やったら違うことやるよって言うもんね。同じにはできないよって」

内田「なんか、いじわるな奴(笑)」

甲本「でも、それが一回しかない大事なものなんですよ。なんかそういうのすごくいいなあ」

内田「録音してて思うんだけど、ピカッと光る瞬間があったらさ、どこか破綻していてもいいと思うのよ。ちゃんと作り上げないといけないという意識はわかりますよ。だけど、ぶっ飛んでる瞬間があったら、それが2、3個あったらもうそのテイクを取るしかないと思うんですよ」

甲本「うんうん」

内田「どっか破れてたりしているのも、ブルースを聞いていたらいっぱいあってさ。俺がやってるっていう、ブルースマンの感じ。俺がやるんだから、バックがちゃんとついてこい。なんか妙な自信とか、男らしさ。やくざ者のようなブルースマンにはなれないけど、録音というのはそういうもんだと思う」

甲本「ローリング・ストーンズとか、イギリス人がブルースをやろうとしたときに、スリム・ハーポとかああいうものをやってみようというのはすごくよく分かるんですよ。整合性とれてるから。寸法とれて数が合ってて。すごくわかるんですよね。ぼくは普段ずっとロック・バンドやってるから、脳みそがそっち寄りなんです。何小節でコードが変わって、1番歌って、2番歌って、ソロがこんだけあって、というやり方をやってきたから、今回は本当にずっとドキドキしてた。めったにできないことで、うれしかったです」

内田「道しるべのない道が好き。どっちを選ぶか分からない、瞬間的に決まっていく、ヒロトがこう出たんならこっちだってね。どこで終わるかさえもあんまり決めてない。だけどちゃんとわかるようにやれば、これエンディングに向かっているよというのが言わなくてもぜったいわかる。合奏というのは一緒にやる人の音を聞くこと。それと二人っていうのは約束事が最小限でいける。これが4人になってくるとちゃんと約束事がないとめんどくさいことになるから。一人だとやり放題なんだけど、道しるべがないことを二人でちゃんとできると楽しいよね」

甲本「今回、ぼくが自画自賛したいことはですね、一曲のサイズがまともだということなんですよ。放っておくと6分、7分、10分、終われないことにもなるんです。これはちゃんとあとで聞いても曲っぽいんですよ。すごいなあと思って。よくまとまったなあ。ほっとしてます。立派立派と思います」

──曲は即興的に作られたのですね。

甲本「出来上がる過程を録音した感じです」

内田「音楽って即興でしょ。ましてブルースは定型があるから、即興でやりやすい。だけど、付いてこれない人もいる。ヒロトさんはそうではなく、やっぱり本当にいい歌手とやるというのはギタリストとして最高の悦びですね」

甲本「ありがとうございます」

内田「やっぱりブルースは本当に歌ものだもんね。歌でぶっとばす、すごさ。エルモア・ジェイムズとかさ。声が裏返ろうがなんだろうが」

甲本「“Goodbye Baby”の裏返り、大好きなんだ」

──〈ブルースがなぜ〉には「エルモアが言うには 日は照っても」という歌詞が出てきますね。これはエルモア・ジェイムズの“The Sun Is Shining”ですね(チェスのLP『Who's Muddy Shoes』に収録)。

甲本「チェス盤のエルモアもいいですよね」

内田「いいよね。あのアルバムはエルモアを買ったら知らない人(ジョン・ブリム)が付いてきて、それ聴いたらめちゃめちゃよかったっていう。エルモアよりも好きだったもん」

甲本「シカゴの精鋭がバックを務めてて」

内田「50年代の最高の人たち」

──そのジョン・ブリムの“Rattlesnake”を参考にしたのが〈ヘビが中まで〉。

甲本「これをきっかけに、ジョン・ブリム良かったよねって酒飲み話に花が咲けばいいと思う」

──他の曲も、あの曲を参考にしたのかな、と想像しながら楽しめそうです。

甲本「その楽しみは絶対ありです。いろんなところにブルースからもらったヒントを入れてあります」

内田「ここまでブルースのアルバムっていままで出来てないんじゃないかな。自分で言うのもなんですけど、画期的なアルバムが自然にできちゃったな」■

撮影 山本正大

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ブギ連CD
『ブギ連』
◯CD(アリオラジャパン BVCL-960)[¥2,913+税]
◯12インチアナログ盤(7インチアナログ盤付)
(アリオラジャパン BVJL-32~33)[完全生産限定盤][¥4,000+税]

ブギ連ライヴ「ブギる心」
7月4日(木)渋谷クラブクアトロ[SOLD OUT]
9月24日(火)愛知県 名古屋クラブクアトロ
9月25日(水)大阪府 梅田クラブクアトロ
9月27日(金)東京都 東京キネマ倶楽部
9月28日(土)東京都 東京キネマ倶楽部

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO
8月17日(土)北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
rsr.wess.co.jp/2019/

ブギ連/公式サイト
www.sonymusic.co.jp/artist/boogie-ren/

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ブルース&ソウル・レコーズ No.148にも、ブギ連のインタヴュー記事を掲載しています。一部重複しますが、本記事とは内容が異なりますので、そちらも合わせてお楽しみください。

ブルース&ソウル・レコーズ No.148
bsrmag.com/magazine/bsr148/

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