RECORD
2018.5.9

WEE WILLE WALKER & THE ANOTHONY PAULE SOUL ORCHESTRA /After A While

実力バンドとの共演で示す 絶好調のソウル・シンギング
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 ここ数年、順調にアルバムを発表しているウィー・ウィリー・ウォーカー。ハスキーで温かみあふれる歌声が今絶好調であることは、近作から十分に伝わってきているが、本作もそれらに劣らぬ素晴らしさ。

 バックを担うのはベイ・エリアで活躍するギタリストのアンソニー・ポールが率いる、ホーン・セクションとバック・コーラスを含め総勢12人編成のバンド。デリック・マーティン(ds)、ポール・オルギン(b)ら、セッションマンとしての経験も豊富なメンバーを含むバンドの実力は確かだ。2015年以降、イタリアのポレッタ・ソウル・フェスのハウス・バンドを務めており、ウィリーともそこで共演し、本作のレコーディングに至ったようだ。そのバンドの見事なサポートぶりに拍手喝采を送りたい。ライヴで共演済みということもあるのだろう、スタジオでもこじんまりとまとまらず、歌を煽るような躍動感がある。かといってライヴ感が偏重されることもなく、スタジオ作としての繊細な完成度も合わせ持っている。

 ことさら“サザン・ソウル・シンガー”としての姿をウィリーに当てはめようとせず、ドリフターズが歌いそうなラテン風味のR&B・、リトル・ウィリー・ジョンのアップテンポ・ナンバー・など、多彩な楽曲を用意し、ウィリーの魅力を存分に引き出している。オーティス&カーラ版を手本にした・やメイブル・ジョンの・は、原曲のスタイルを踏襲しながら、スタックス・サウンドを目指すことはない。バンドがウィリーとともに今現在の音を生み出そうとしている。ゴールドワックス時代に吹き込んだジョージ・ジャクスン作のリメイク・も泣けます。このバンドで再来日してほしい。(濱田廣也)

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