80年代 USハードコア/パンクの直撃を受けた面々によって1984年、マサチューセッツ州で結成された〈ダイナソーJr.〉。アメリカのアンダーグラウンドからメジャーシーンまで、80年代末から90年代のオルタナティブ・ロックの巨大なうねりの中核として活動、しばしの活動休止を経て現在も新たな音楽を生み出し続けている轟音バンドだ。
そのダイナソーJr.の歴史を、オリジナル・メンバーであるJ・マスキス(G./Vo.)、ルー・バーロウ(B.)、マーフ(D.)の三人の関係性にフォーカスしながら貴重な過去のフッテージを交えて描く、バンド自身が製作に関わったバンド公式のドキュメンタリー映画『ダイナソーJr./フリークシーン』が2022年3月25日(金)より上映される。
“音が、巨大すぎた。” 音楽のみで通じ合う、崩壊と再生のダイナソーJr.ドキュメンタリー
J・マスキスのギター音があまりに巨大だったため、リズム隊の二人は自らの音が聴こえるべくボリュームを上げるしかなかったというダイナソーJr.の凄まじい轟音は、ニルヴァーナやサウンドガーデン、パール・ジャムなどのグランジ・ムーブメントが勃発するより前にソニック・ユースに見出された。2ndアルバムは US ハードコア界 の総統ともいうべきグレッグ・ギン(ブラック・フラッグ)運営のSSTレコードからリリース。巷に溢れたハー ドコア・サウンドとは一線を画す、暗く、ヘヴィでギターまみれな音の洪水でありながらもポップでキャッチー さを備え、そしてニール・ヤングやニック・ケイヴ的とも云われる無気力極まりない唯一無二のボーカルが欧米の地下世界で絶大な支持を得た。しかし、ツアー中のある出来事をきっかけに三人の関係性は崩壊。ルーとマー フは次々と脱退、新メンバーを迎えて活動を継続したダイナソーJr.は J・マスキスのソロ色を強めていった。 ダイナソーJr.の音楽は、売れようとするものでもなく、他人に聴いてもらおうとするものでもなく、ルー・バー ロウは「どのぐらい客が集まるか、どれだけの人が聴いてくれるのかと考えたことがない。俺たちは客を襲うた めにライヴをやっていた」と語る。人気を獲得するためにギラギラするロックスター然としたバンドとは対極、 音楽以外には一切関心がない三人のコミュニケーションは唯一、音楽を通じて図られる。そんな音楽だけで結ば れていたオリジナル・メンバー三人それぞれの正直な証言を引き出し、そして 2005 年以降再集結した現在までを、華美な演出を許さない愛情溢れる視点でまとめたのは、J・マスキスとは義理の親族にあたるフィリップ・ロ ッケンハイム。これまで 100 本以上のミュージックビデオを手掛け、ジム・ジャームッシュ監督作『ギミー・デ ンジャー』(2016)にも撮影素材が使われるなど長年音楽映像の世界で活躍するベルリン在住の監督。またバン ドの歴史を補完する証言は、キム・ゴードン(ソニック・ユース)、ヘンリー・ロリンズ(ブラック・フラッグ)、 ボブ・モールド(ハスカー・ドゥ)、フランク・ブラック(ピクシーズ)、サーストン・ムーア(ソニック・ユー ス)、ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)などダイナソーJr.に近しいミュージシャンたち。80年代末から90年代にかけてオルタナティブ・ロックという巨大な渦の中心にいたダイナソーJr.の約30年にわたる心情、メンバーの関係性、として音楽をタイトに、丁寧に、誠実に描いた本作は、同時に人間の成長と友 情の在り方も映し出すものとなった。
バンドとその音楽に対する思いやり、愛情、畏敬の念に溢れた、特別な作品だ。 -ボブ・モールド(ハスカー・ドゥ)
彼らが共有できる唯一の真の言語は<音楽>であるという状況下で、バンドという運命共同体に属する 試練を乗り越えようと前進する姿が大好きだ。ダイナソーJr.は私たち全員にとって非常に大切であり、今 もなお重要な存在だ。
-サーストン・ムーア(ソニック・ユース)
アメリカン・オルタナティブ・ロックの面々を描くこの心温まるポートレートは、友情と個人の成長につ いての痛烈な反芻を兼ねている。あまりに生々しいパフォーマンスの映像が全体に重厚感をもたらす。 -the Guardian
『ダイナソーJr./フリークシーン』
監督:フィリップ・ロッケンハイム
製作:ステファン・ホール、アントワネット・コスター、フィリップ・ロッケンハイム
共同製作:ダイナソーJr.、J・マスキス
出演:ダイナソーJr.(J・マスキス、ルー・バーロウ、マーフ)、キム・ゴードン(ソニック・ユース)、ヘンリー・ロリンズ(ブラック・フラッグ)、ボブ・モールド(ハスカー・ドゥ)、サーストン・ムーア(ソニック・ユース)、フランク・ブラック(ピクシーズ)、ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)、ソニック・ブーム(スペースメン3)、マット・ディロン
2020年|82分|ドイツ=アメリカ合作|原題:FREAKSCENE the story of Dinosaur Jr.
c 2020 by Rapid Eye Movies/ Virus Films/ Dinosaur Jr. Inc.
キングレコード提供
ビーズインターナショナル配給
シネマート新宿・シネマート心斎橋ほかにて2022年3月25日(金)公開
【公式サイト:dinosaurjrmovie.com】
【twitter:https://twitter.com/dinosaurJrmovie】
【facebook:https://www.facebook.com/dinosaurJrmovie/】