2021.3.8

【BSR Playlist Archives】第1回 ピーター・バラカン

ブルース&ソウル・レコーズがゲストを招き、プレイリストでブルース&ソウルの魅力を紹介する新企画『BSR Playlist Archives』。第1回のゲストはラジオDJ、音楽フェスティヴァル「Live Magic!」を監修するピーター・バラカン氏。 ルーツ・ミュージックを中心に、広く深い音楽 への愛と知識で、様々な媒体で音楽を紹介するピーター・バラカン氏については、読者の皆さんもよくご存じだろう。

今回は「Black Lives Matterとブラック・ミュージック」をテーマにセレクトいただいたプレイリストをお届けする。2013年に立ち上がったBlack Lives Matter(BLM)運動は、昨年5月25日にミネアポリスでジョージ・フロイド氏が白人警官に首を膝で押さえつけられて死亡した事件を機に、世界中へ抗議の波が広がった事は記憶にも新しいはずだ。そして、その人種の差別に抗う声は、ブラック・ミュージックの中で長きにわたり歌われているテーマでもある。彼らの音楽を聴き、そしてそのメッセージを考えることは、私たちができる一つの抗議の形なのかもしれない。

プレイリストはこちらから!

Vol,1 「Black Lives Matterとブラック・ミュージック」

(ピーター・バラカン氏によるコメント)
ブラック・ミュージックは昔も今も人種差別と切り離して聞くことは難しいです。子供のころはアフリカン・アメリカンたちが受ける偏見のことを知らずにラジオから流れる60年代初頭のR&Bを楽しく聞いていたのですが、公民権運動のことをテレビのニュースなどで知り始めると、遠く離れたイギリスにいるにもかかわらず怒りが込み上げてきました。ちょうどぼくの中学、高校の時代はソウル・ミュージックがいちばん元気な時期に重なっていたし、ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンなどの影響でブルーズの人気もどんどん高まって行ったのです。十代からブラック・ミュージックを日常的に聞いているとそのサウンドは自分の基準になりました。最初はサウンドそのものがカッコよくて、さほど歌詞を意識せずにのめり込んでいましたが、一旦気になり始めると差別に触れる歌がかなりあることに気がつきます。
ここで取り上げている曲は時代的に20世紀初頭から現在まで、スピリチュアル、ゴスペル、ブルーズ、ジャズ、ソウル、R&B、ファンク、ラップ、レゲェ表現のしかたも様々です。
最後に入っているアンドラ・デイの「奇妙な果実」は間もなく公開されるビリー・ホリデイの伝記映画のサウンドトラックからです(※編注 同映画は米国で2021年2月26日よりHuluにて公開)。大変な物議を醸したビリー・ホリデイの1939年のオリジナルもこのプレイリストで聞けます。この歌で描かれている黒人のリンチ事件はさすがになくなりましたが、まだまだ続く警察による黒人への暴力、そしてそれに触発されたBlack Lives Matterの運動のことを考えると状況はあまり変わっていないようにも思えます。
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ピーター・バラカン/Peter Barakan
1951年ロンドン生まれ。
ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。
現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。
著書に『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ラジオのこちら側』(岩波新書、電子書籍だけ)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫、、電子書籍だけ)などがある。
2014年から小規模の都市型音楽フェスティヴァルLive Magicwww.livemagic.jp/ )のキュレイターを務める。

 

公式ウェブサイト peterbarakan.net

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