2018.9.8

【特集:伝えておきたいブルースのこと】㊱ジミ・ヘンドリクスと彼のブルース

ジミ・ヘンドリクスと彼のブルース
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「ギタリストとして意識したはじめてのミュージシャンがマディ・ウォーターズだった。子どものころに彼のアルバムを聴いて、そのサウンドを聴いたら死ぬほど驚いた。『うわぁ、何だよこれ? すごいじゃないか』って」(ローリングストーン誌、1968年3月9日号)

 めまぐるしく動いていた60年代のロック・シーンに現れたジミ・ヘンドリクスは、ロックの最先端を行く存在だった。そのジミの音楽のルーツにブルースがある、ということは今ではよく知られているが、当時はあまりそのことは意識されていなかったとも聞く。

 ジミがインタヴューなどで名前を上げたブルース・ギタリストには、マディの他にB・B・キング、アルバート・キング、アルバート・コリンズ、エルモア・ジェイムズ、ロバート・ジョンスンなどがいる。残された写真からは、ジミのレコード・コレクションの中にマディ・ウォーターズ『リアル・フォーク・ブルース』と『シカゴ/ブルース/トゥデイ!』があったことが分かる。いずれも1965年に発売されたもので、出たばかりのレコードをさっそくチェックしていたと思われる。それほどジミにとってブルースは常に頭の中にある音楽だった。

 ジミはブルースを進化させようとしていたのだろうか。ジミによるブルースをまとめた編集盤『ブルース』を聴くと、創造性あふれるギターのフレージング、美しいトーン、そして万感のフィーリングに打ちのめされる。ロックの可能性を広げた革新的なプレイでブルースを料理する、というのとは違う。無駄な装飾を削ぎ落とし、ブルースに真摯に向き合う歌と演奏がそこにはあった。

 ジミが亡くなるのは1970年9月18日。その年の1月にニューヨーク・ポスト紙の取材で、新たに結成したバンド・オブ・ジプシーズについてこう語っている。

「もう一度ブルースがやりたくなった。それがおれの原点だから」

*ジミの発言はいずれも『ジミ・ヘンドリクスかく語りき 1966-1970 インタヴュー集』スティーヴン・ロビー編著/安達眞弓訳/スペースシャワーネットワーク)より

ジミ・ヘンドリックス/ブルーズ
ジミ・ヘンドリックス/ブルーズ
(ソニー・ミュージック・ジャパン SICP 2910〜1) [2010]
[写真左]1994年に編集されたジミのブルース作品集のデジタル・リマスター盤。全11曲収録。「ヘンドリックスとブルース』と題された2003年制作の映像作品がDVDで付いている。日本盤は日本語字幕付き。

Martin Scorsese Presents The Blues: Jimi Hendrix
(Experience Hendrix B0000698-02) [2003]
[写真右]“ブルース・ムーヴィ・プロジェクト”に連動して組まれたジミのブルース集。全10曲。上の編集盤との重複は1曲のみ。同じ曲でも異なるテイクを使用している

特集:伝えておきたいブルースのこと50

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